exhibition〈 一語一衣 〉第 13 話



第 13 話 

ほのおの少女 

{ 衣 }  屑繭白鳥金粉長衣










"ほのおとは対照的に、少女は村の誰とも口をきかなかった。ほのおと話しているところすら見たことがない。"

(『ほのおの少女』より)














"次第に、村人たちは少女を気味悪がるようになった。加えて、こんな噂も流れ出した。

「燃えさかる炎に取り憑かれた少女には、誰も触れることができない」"

(『ほのおの少女』より)













"「あんたね、ようくお聞き。あんたあの娘に手を引かれてこの村まで来たのかもしれないけど、本当はあの娘に触れることなんて誰もできやしないんだ。あの娘は、炎に取り憑かれちまってるんだ。悪いことは言わないよ。何も起こらないうちに、あんたの町へ帰った方がいい」"

(『ほのおの少女』より)













"村人たちは、ほのおが少女の手を引いて村へ来た時のことを思い出さずにはいられなかった。"

(『ほのおの少女』より)














"何度も何度も目にしてきた光景が、また毎日のように繰り返されているのだから。"

(『ほのおの少女』より)












"山の木々が落葉し、村中が冬支度を始めた頃のこと。村の老人が亡くなった。ほのおに畑仕事を教えた、あの老人だ。"

(『ほのおの少女』より)












"誰もが息を呑んでその鳥を眺めた。鳥は少女の手を離れて舞い降りると、そのまま老人の胸元で大きく羽ばたいた。抜け殻のようになってしまったなきがらは、どこまでも続く天空のように懐が深く、白くて小さな鳥の滑空を穏やかに受け入れた。その様子を、少女はかげろうの手を握って、じっと見守っていた。"

(『ほのおの少女』より)













"ただひとつはっきりしていることは、広場の中央の焚き火の煙が月に向かってのぼっていく様子が、まるで何羽もの白い鳥が月を目指して羽ばたいているように見えたということだけだ。それだけは、村中の誰もが覚えていた。しかし、誰一人として少女の名前を思い出すことはできなかった。"

(『ほのおの少女』より)
















i a i

{ 衣 }
屑繭白鳥金粉長衣







屑繭布は、

汚れや穴あき、出殻、浮きしわ、薄皮などの副産物

又、繭の糸口を見出す為にしごきとった緒糸(きびそ)

繰り終えた繭にとどまった繭繊維(びす)などの短繊維を紡いで絹紬糸になる。

要するに、生糸をとるのに適さない不良な繭。

その絹紬糸には個性光る節があり、木綿のように素朴な質感を生む。


屑繭布は製糸・紡績工程でどうしても出る副産物を再利用した糸で織られている。

かすかに、陽にさすと光沢を感じとれ生地がとても軽い割に透け感はない。

私が今、最も愛するお蚕さんの息吹がひそむ布。

火の煙が月に向かう様子が、何百羽もの白い鳥に見えたという

一文から創造を期した一衣。




〈 素材 〉

丹後織物 / 白い鳥 : 屑繭残糸


〈 寸法 〉

身丈128㎝ / 身幅 ( 脇下 ) 48㎝ ( 裾 ) 110㎝ / 袖丈46 ㎝ / 肩幅40㎝ / 袖口囲 28 ㎝


〈 モデル身長 〉

約154 cm












〈 制作 〉

衣 i a i

物語 こじょうゆうや

写真 山中 美有紀








〈 受付終了 〉



こちらの衣と物語のご購入受付は終了いたしました。

ありがとうございました。



とうめい

とうめいは、 信州佐久、満月をあらわす名をもつ里に きまぐれにあらわれる空間です。