exhibition〈 一語一衣 〉第 10 話



第 10 話 

いしころのおもいで 

{ 衣 }  野蚕鹿踏土鳴石衣 







"「ぼくが山にいたとき、河原で小さな男の子と女の子の約束を見かけたことがあるよ」"

(『いしころのおもいで』より)







"山のいしころは、また、山の日々を思い出した。どれだけ月日が経っても変わらない景色。きっとまた見ることができる景色。忘れることができない景色。"

(『いしころのおもいで』より)







"山のいしころはその行き交う短い音の響きと泣き声に全身を震わせていた。どうやら、山で見かけた男の子と女の子の約束が、今ここで守られたらしい。"

(『いしころのおもいで』より)







i a i

{ 衣 }
野蚕鹿踏土鳴石衣




野生の種々の蚕が自国に自生する葉を

山そのままを食べ、紡ぎ出した繭で織られた布。

養殖家蚕の白い繭と違い

様々な不純物も含まれた山の布。

中国、湖南省でうまれたというこの布は手紡ぎ手織り。

この手仕事は素材よりも前にまず

布が生まれるまでの歳月の地層が安息にも似た落ちつきを与えてくれ、

心から礼讃せずにいられない。

話を聴いただけでもその情景が、自分の色のなかで広がっていく。

当時の、中国の山や土の匂いをたぐらせてくれているよう。

そして手の心がこもった布が、衣となり人の生活にとけこんで

人とともに土に生きた痕跡が野生的であり木綿糸の一本一本に心がしめされ

僕はこういう生き方がしたいと、心根にやわらかい風がながれる。

私が住む集落の土を掘って、焼いて、装身具と成した。

その土具を野蚕残糸で編んだ紐と添わせた。




〈 素材 〉

野蚕( 柞蚕 )布 / 大麻古布 / 土具 : 毛原村土採取



〈 染め 〉

柿渋



〈 寸法 〉

身丈 (前身頃) 110㎝ (後身頃) 117㎝ / 身幅 64㎝ / 袖丈 48㎝ / 肩幅 41㎝ / 袖口囲 36 ㎝



〈 モデル身長 〉

約154 cm











〈 制作 〉

衣 i a i

物語 こじょうゆうや

写真 山中 美有紀









 〈受付終了 〉



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ありがとうございました。




とうめい

とうめいは、 信州佐久、満月をあらわす名をもつ里に きまぐれにあらわれる空間です。