exhibition〈 一語一衣 〉第 4 話



第 4 話 

星影にて、あなたを待つ。 

{ 衣 } 苧麻津軽手草祈白貫頭衣 / 苧麻津軽手草祈白子衣






“月を眺めるのは夕飯の後、手元に野草のお茶を準備してからのことでした。

月を待つ間、母はよくこう言いました。


「私たちはみんな、星影なのよ」




(「星影にて、あなたを待つ。」より )






“「あなたが幼い頃に着ていた服よ」


 と言った後、母は自分の物持ちの良さを自分で笑いました。どうして今までしまっていたのかを尋ねると、母はいつものように透き通る声で答えました。


「私もいつか、おばあちゃんになるかもしれないからね」




(「星影にて、あなたを待つ。」より )





“ 今日の昼食は、山からいただいたきのこで出汁をとった、玄米と豆乳のリゾットです。私は胸の内でそう呟いて彼には言わず、食卓に出した時の彼の表情を思い浮かべながら、頬を撫でた風が木々を縫うようにして駆け抜けていく背中をじっと見つめて、大きく深呼吸をしました。




(「星影にて、あなたを待つ。」より )







i a i

{ 衣 } 
苧麻津軽手草祈白貫頭衣

苧麻津軽手草祈白子衣




〈 染 〉

本藍


〈 素材 〉

貫頭衣(苧麻津軽手草祈白貫頭衣)

津軽こぎん刺し / 苧麻古布“ 昭和初期 ” / 苧麻糸 “ 小城弓子”


子衣(苧麻津軽手草祈白子衣)

津軽こぎん刺し / 苧麻古布“ 昭和初期 ” / 陶器背守り“ 毛原土 ”


〈 寸法 〉

貫頭衣

身丈68㎝ / 身幅 56㎝ / 袋 (幅) 28㎝ , (深さ) 18㎝


子衣

なし


〈 モデル身長 〉

約158 cm






〈 i a i より 〉


古い布に触れたい時に決まって訪れる場所の

おばあちゃんはとても知識が豊富。

布の歴史から地域性、素材、生活の細部にまで用途を分け

布の性質を大雑把に説明してくれる。

事細かに言おうと思えば容易いことなのだろうけれど、

あのざっくりと一言、二言がなんとも心に沁み記憶に残りつづける。

私も大雑把だから、これは相性ということなのかもしれない。

昭和初期から活躍していた苧麻の古布は着物の単衣をほどいたもの。

津軽こぎん刺しは時代不明だが、東北の集落にある老夫婦から譲りいただいたもの。

どれもその時代の空気を纏っていて、植物と人の力づよさが感じとれる。






第 4 話

星影にて、あなたを待つ。

{ 衣 } 苧麻津軽手草祈白貫頭衣 / 苧麻津軽手草祈白子衣






〈 制作 〉

 i a i

物語 こじょうゆうや

写真 i a i 、とうめい








exhibition〈 一語一衣 〉は

第 5 話へ続きます。




とうめい

とうめいは、 信州佐久、満月をあらわす名をもつ里に きまぐれにあらわれる空間です。